MENU

【少しネタバレあり感想】『REC:レック/ザ・クアランティン2 ターミナルの惨劇』|本家との差が残酷な退屈作【評価3/10】

映画 REC:レック/ザ・クアランティン2 ターミナルの惨劇 公式画像

評価:3/10
ネタバレ:少しあり
『REC:レック/ザ・クアランティン2 ターミナルの惨劇』を視聴しました。閉鎖された旅客機と空港ターミナルを舞台に、正体不明の感染が広がっていくパニックホラーです。しかし、魅力的に見える舞台設定を生かし切れず、恐怖よりも退屈が勝ってしまいました。本家スペイン版『REC/レック』の緊張感を期待すると、その差に愕然とする作品です。

少しネタバレあり:物語の導入、感染源として扱われる研究用ラット、終盤の印象に触れます。犯人や生存者など、結末を直接決定づける情報は伏せています。

映画『REC:レック/ザ・クアランティン2 ターミナルの惨劇』公式画像
画像出典:Netflix日本向け公式作品ページ
TOC

『ザ・クアランティン2』とは

本作は2011年に公開されたアメリカのホラー映画で、監督・脚本はジョン・ポーグ。メルセデス・メイソン、ジョシュ・クック、マッティ・リプタク、イグナシオ・セリッチオらが出演しています。上映時間は約83分。短い映画なので一気に見られるはずですが、体感時間は数字以上に長く感じました。

ここでシリーズの関係を整理しておきます。邦題には『REC:レック』と入っていますが、本作はスペイン版『REC/レック』シリーズの直接的な続編や番外編ではありません。スペイン版第1作をアメリカでリメイクした『Quarantine/ザ・クアランティン』の続編です。前作と同じ夜に始まり、ロサンゼルスの封鎖された集合住宅から感染が外へ漏れた可能性を描く、アメリカ版独自の物語となっています。

閉鎖ニュースから始まる「つながり」

劇中では、前作で封鎖された建物に関するニュースが流れます。観客へ「同じ世界で、同じ夜に起きている事件だ」と知らせる導入です。この短いニュースには期待を持たされました。建物内だけで完結したはずの恐怖が、空港や航空機という巨大な交通網へ侵入してしまう。感染が都市の外へ広がる危険を描けるからです。

舞台はロサンゼルス発ナッシュビル行きの旅客機。離陸後、乗客の一人に異常な症状が現れ、機内は混乱します。密閉された細い通路では逃げ場がありません。ひとたび感染者が暴れれば、座席も荷物も障害物になります。航空機という設定だけを見れば、緊迫したパニック映画になる材料は十分に揃っていました。

本作の機内感染と隔離劇を手元で見直し、どの場面から違和感が強くなるのか確認したい方には、本作のDVDが直接的な選択肢です。配信状況に左右されず、評価3/10となった理由を映像で確かめられます。

Amazonのアソシエイトとして、Netflix映画・ドラマレビューは適格販売により収入を得ています。

機内パニックが始まるまでが唐突すぎる

ところが、異変が始まるまでの流れはひどく唐突です。登場人物を理解し、誰が何を恐れ、誰を守ろうとしているのかを把握する前に騒動が起きます。展開が速いことと、物語が勢いよく進むことは同じではありません。本作は出来事だけを急いで並べるため、人間関係が観客の中に根を張らないまま、感染者への対応が始まってしまいます。

その結果、誰が襲われても強い感情が生まれません。危険な状況なのに人物の顔と役割が印象へ残りにくく、ただ乗客が叫び、通路を走り、押し合っているように見えます。恐怖映画は怪物の造形だけでなく、「この人物だけは助かってほしい」と思わせることで緊張が生まれます。本作にはその土台が足りません。

せっかくの航空機を早々に降りてしまう

さらに惜しいのは、旅客機という閉鎖空間を十分に使わないことです。感染の疑いが出た航空機は緊急着陸し、生存者たちは隔離されたターミナルへ移されます。原題にも「Terminal」とあるので当然の展開ではありますが、狭い機内でしか作れない恐怖を深める前に場所が変わります。

ターミナルも閉鎖空間ですが、機内より広く、似たような通路や薄暗い部屋を行き来する場面が増えます。視覚的な変化が乏しく、移動の目的も分かりにくい。政府関係者が外から封鎖しているという状況は緊迫しているはずなのに、孤立感よりも停滞感が強くなりました。見ているこちらまで、事件の進展を待ちながら暇を持て余してしまいます。

映画『Quarantine 2: Terminal』米国公式ポスター
画像出典:Sony Pictures『Quarantine 2: Terminal』公式作品ページ

本家『REC/レック』との雲泥の差

本家スペイン版『REC/レック』の強さは、取材カメラの映像だけで事件を見せる疑似ドキュメンタリー形式にありました。何が起きているのか分からない混乱、狭い階段、暗闇の奥から聞こえる音、カメラが捉え損ねる一瞬。その情報不足そのものが恐怖になっています。観客も登場人物と同じ視界しか持てず、建物から逃げられない圧迫感を共有します。

対して本作は通常の映画撮影へ切り替え、複数の人物と場所を客観的に映します。それ自体が悪いわけではありません。しかし、撮影形式を変えるなら、それに代わる新しい恐怖が必要です。航空機ならではの逃げ場のなさ、飛行中という絶対的な孤立、空港封鎖の社会的な広がり。本作はどれも中途半端で、本家が持っていた生々しさまで失っています。

なぜ本作が物足りないのかを最も明確に比較できるのは、やはり原点のスペイン版『REC/レック』です。暗闇、手持ちカメラ、情報制限が一体となった恐怖を見れば、本家と本作の「雲泥の差」が演出の違いとして理解できます。

Amazonのアソシエイトとして、Netflix映画・ドラマレビューは適格販売により収入を得ています。

研究用ラットが出ても「なぜ?」しか残らない

物語の鍵として登場するのが、乗客の男が機内へ持ち込んだ研究用ラットです。普通なら、感染源は何なのか、なぜラットを運んでいたのか、誰が何の目的で関わったのかという謎が、終盤へ向けて一本につながっていくはずです。しかし本作では、情報が出るほど理解が深まるのではなく、新しい疑問だけが増えていきます。

「なぜ、この人物がここまで準備しているのか」「なぜ、この方法を選んだのか」「感染の仕組みはどこまで把握されているのか」。観客が知りたい部分は十分に解明されません。謎を残す終わり方と、説明を放棄することは違います。想像の余地ではなく、脚本が途中で答える責任を手放したように感じました。

感染者の描写にも新鮮味がありません。暴れ、噛みつき、追いかけるという動作が中心で、個々の場面に工夫が乏しい。メイクや暗い照明で最低限の不気味さは出ていますが、次に何が起きるのかを覆すほどの驚きはありません。唐突な音と大声で瞬間的に驚かせても、長く続く恐怖にはつながりませんでした。

前作『ザ・クアランティン』から何を引き継いだのか

本作を単独で見ると、封鎖ニュースや感染の背景が説明不足に感じられます。一方、前作『ザ・クアランティン』を先に見れば、なぜ政府が素早く封鎖へ動くのか、冒頭のニュースが何を意味するのかは理解しやすくなります。少なくとも「本家RECの番外編」ではなく「米国リメイク版の続編」だという位置づけは明確になります。

前作はスペイン版の筋書きと疑似ドキュメンタリー形式をかなり忠実に移した作品でした。本作はそこから離れて完全な新規展開へ進みます。自由に物語を作れる機会だったのに、感染を別の場所へ移すことが中心となり、シリーズを一段深くする発見まではありません。続編としての独自性と、原点から受け継ぐべき緊張感の両方を逃しています。

ただし、前作を見れば本作が急に面白くなるわけではありません。背景知識は補えても、人物描写の薄さやターミナルでの停滞、謎を整理しない脚本は変わらないからです。続編は前作の世界を広げるだけでなく、前作を超える理由を示す必要があります。本作は舞台を広げながら、恐怖の密度を薄めてしまいました。

建物内の事件から航空機へどう接続したのかを順番に確認したい方は、米国版第1作『Quarantine/ザ・クアランティン』から見ると関係を追いやすくなります。本家スペイン版との違いと、本作へ続く設定の両方を比較するための一作です。

Amazonのアソシエイトとして、Netflix映画・ドラマレビューは適格販売により収入を得ています。

少ないながら評価できる点

評価できる点が全くないわけではありません。感染者を乗せた旅客機が着陸しても、すぐには助けてもらえず、乗客ごと隔離される導入には現代的な怖さがあります。空港は本来、多くの人と都市をつなぐ安全な施設です。その場所が外から封鎖され、出口が全て閉ざされる反転には可能性がありました。

また、感染者のメイクや暗いターミナルの雰囲気には、低予算作品なりの頑張りが見えます。83分という短さも救いです。長大な説明を加えてさらに間延びさせるよりは、短い時間で終わる方がよいでしょう。序盤の機内パニックだけを切り取れば、航空機ホラーとして少し期待できる瞬間もありました。

見る価値を感じられなかった理由

  • 人物を覚える前に事件が始まり、誰にも感情移入しにくい
  • 航空機という魅力的な密閉空間を十分に使わない
  • ターミナルへ移ってから移動と会話が続き、恐怖より退屈が勝る
  • 研究用ラットをめぐる動機や感染の謎が整理されない
  • 本家『REC/レック』の疑似ドキュメンタリー的な緊張感がない
  • 米国版独自の続編としても、前作を超える新しい恐怖を提示できていない
  • 終盤まで見ても「なぜ?」が解消されず、唐突にフェードアウトした印象が残る

総合評価:3/10

『REC:レック/ザ・クアランティン2 ターミナルの惨劇』の評価は3/10です。旅客機内で始まる感染、空港ターミナルの封鎖、前作と同じ夜という設定には可能性がありました。しかし、展開は唐突で人物は薄く、せっかくの密閉空間も十分に生かされません。何より、研究用ラットを含む物語の核心が整理されないため、見終えても恐怖より疑問が残ります。

本家『REC/レック』と比べれば雲泥の差です。タイトルに『REC』を掲げている以上、あの息苦しい緊張感を期待するのは当然でしょう。ところが本作には、カメラの向こうに何がいるのか分からない怖さも、逃げ場を失った人物へ感情移入する力もありません。本家の名を借りながら、その魅力を理解していないようにさえ見えました。

シリーズを追いかけて全作を比較したい人、あるいは航空機を舞台にした感染ホラーをどうしても見たい人以外には勧めません。限られた視聴時間を使うなら、まずスペイン版『REC/レック』を見る方がよいです。本作は「なぜこうなったのか」を考える批評材料にはなっても、純粋に恐怖や物語を楽しむ映画としては、見る価値をほとんど感じられませんでした。


作品情報・画像・関連商品の参考出典

著作権・権利帰属

当該作品の作品名、画像、映像、ロゴ、キャラクター、音楽、商標等に関する権利は、© 2011 Destination Films Distribution Company, Inc. All Rights Reserved.をはじめとする各権利者に帰属します。

本記事の文章、独自の評価、考察および記事構成の著作権は株式会社DNSが保有しています。無断転載・無断複製を禁止します。

Let's share this post !

Author of this article

フリーエージェント兼Youtubeインフルエンサー。
-------------------------------------
◇2018年からYoutubeで配信
◇2019年から2023年まではVtuberとしてインフルエンサー活動
◇2024年休止
◇2026年4月リブート開始
-------------------------------------
◆伊賀守龍之助のX(Twitter)はこちらから
https://x.com/IgamoriRyu
-------------------------------------
◆伊賀守龍之助のグッズ販売はこちらから
https://suzuri.jp/Igamori
-------------------------------------

TOC